実質的に旅の最終日(4日)。
ピトロホリー(Pitlochry)からバスで大都会グラスゴー(Glasgow)へ。
14年ぶりのグラスゴーは、街が見違えるほど美しくなり、活気に溢れていました。
1978年というから46年前ですかね、大学4年の1人卒業旅行で初めてこの街へ来たとき、荒んだ街並みを目にし、足がすくんだのを覚えています。
中央駅の周辺では浮浪者がたむろしていて……。
隔世の感です。
それにシングル・モルト専門のパブ「ポット・スポット」(The Pot Still)が健在だったのがうれしかった!
昼前というのに、多くの客が美酒に酔いしれてはりました(笑)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
昼下がり、巨大なブキャナン・バスステーションからバスに揺られ、北東約13キロ離れたカーキンティロッホ(Kirkintilloch)という町へ向かいました。
そこは、ジェシー・ロバータ・カウン(Jessie Roberta Cowan、1920〜61年)という女性の生誕地。
ニッカウヰスキーの創業者で、「日本のウイスキーの父」と呼ばれる竹鶴政孝(1894~1979年)の愛妻です。
通称、リタ(Rita)。
NHK連続テレビ小説『マッサン』で、シャーロット・ケイト・フォックスが扮したあの可憐な、それでいてたくましい女性です。
町に貢献した人たちを顕彰する展示会場になっているタウンホールの2階へ足を向けると、リタに関係する品々が展示されていました。
「BIG IN JAPAN The muse of Japanese WHISKY」(日本の大物 ジャパニーズ・ウイスキーの女神)
こんなタイトルが付けられていました。
竹鶴17年、ニッカウヰスキーのロゴ、関連書籍……。
中でも一番惹きつけられたのが、彼女が着ていた和服と帯。
日本人になろうと必死だったんですね。
小さな展示スペースでしたが、日本とスコットランドの「架け橋」として大きな存在感を示した女性の息吹が感じられました。
見学後、「彼女の生家を見たいんですが……」と女性職員に訊くと、
「もう跡形も残っていません。更地です」
「生家は街中にあったんですか?」
「少し離れたところです。医者の娘さんでしたね」
ぼくがあれこれと質問したせいか、彼女が冊子を手渡してくれました。
リタの足跡を説明した『竹鶴リタ物語』(ニッカウヰスキー作成)。
これ、どこかで見たことがあるぞ……。
「おおきに、ありがとうございます!」
遠慮なく戴きました。
「図書館に行けば、生家のステンドグラスが飾ってありますよ」
そう言われ、図書館に行くと、階上にありました!
地元では、リタを知らない人はいないそうですね。
翌日は日本へ帰るだけ。
最終地のグラスゴーで思いのほか収穫がありました。
まさかリタさんで旅を締めくくるとは思わなかったけど……。